パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

おちゃらかほい

おちゃらか、おちゃらか、おちゃらかほいっ おちゃらか勝ったよ、おちゃらかほいっ これはよくふたりで遊んでいた手遊びで、ばーちゃんのことを思い出そうとしたら、すぐにこのメロディが口を衝いて出た。お互いに向き合ってじゃんけんをして、勝ったときと…

光と影と朝と夜

昔からそうだった。多分物心ついた時からがんばってきた。がんばって取り繕うことだけが、すべてだった。それがわたしの生存戦略で、それがいつしか生き甲斐で、そうでないと見放されてしまいそうな気がしていて元気な私を、明るい私を、光っているほうを、…

季節をさらう雨のあと

冬の最後の悪あがきみたいな嵐が過ぎて、3月30日から確実に春がきた。気温は20℃をこえて、やわらかな日差しとあたたかな風が吹く。そして桜がいままさに、咲き誇ろうとしているところ。 わたしが入社した時からずっと部を牽引してきた偉い人がエリアを離れる…

マイライフストーリーテラー

古巣のえらいひとと、いま関係の深いひとたちが集まる飲み会にご一緒させてもらった。話す内容は専ら、会社上層部の話ばっかりで、わたしは一番下だったから一生懸命聞くに徹するしかなかったけど良い時間だったなって今帰りの普通電車の中で反芻させている…

負傷兵士のハイキング

小さい頃、どれだけ泣き叫んでも止めてくれなかった激しい喧嘩を思い出す。揉み合うふたりの間に割って入って仲裁に務めたまだ小学生の頃のわたし。その時に、自分の力ではどうにもできない事象があって、どれだけ強く願っても決して思い通りにならないこと…

信ずるは我が神のみ

今日はまた違うコミュニティの人間と会う機会があった。ひさしぶりに幼い子供と接して心底癒されたりもした。子供はすごい。そこにいるだけで、周りの人間は穏やかな気持ちになる。曇りのない透き通った瞳と、赤くて丸いふわふわの頬、絶対に守るべき存在だ…

あなたとわたしの選TAXI

ひさしぶりの人間たち大勢と対峙して、なんだかすごく怖かった。この怖さの正体は一体なんだったんだろう。分かんないけどすごく怖かった、一日中ずっと。でも実際に会ってみるとやっぱりみんなあの頃のままで、ひとつも変わってなくて、怖がる要素なんてな…

歩く道は晴れであれ

大変なことになった。大変なことになったぞ、これは大変なことだ。どうしよう、どうしようもないけど。おめでとうって言ってもらえたからこれは喜ばしいこと、望んでいたこと、夢だったことのはず。だけど、ちょっと待ってくれ、心の準備ができていない。だ…

PERFECT DAYS

身近な人のこと大好きなまま死にたい、嫌いだって思いたくない。時が経つと関係性は変化しちゃって、昔みたいに相手を思えなくなる瞬間があって、この人無理だなって思うと途端に心のシャッターを閉じてしまう。それからもうそのシャッターは2度と開くことは…

憂い逃走中

50年も自分の身分を偽って生きていくというのは、いったいどんな気持ちだったんだろう。自分に対してどれだけ心を開いて接してくれる人間に対しても、信頼を寄せてくれる人間に対しても、自分が何者であるのかを遂には知らせることができないまま付き合って…

感情の伝播

親指が腫れていて、痛いなあと思って調べたらドケルバン病という腱鞘炎らしかった。まあ、かっこいいお名前だこと。自称、なので分かんないけど、症状的にたぶんそう。 今月はたくさんたくさん仕事した。誰になんと言われそうと頑張った。少なくとも、昨年の…

積雪とゆめぴりか

今年一番の寒波が襲来した夜、私の住む街は一晩にして雪に覆われた。本当は大寝坊したくせに、大雪による遅延というていで事なきを得る。悠然たる面持ちで遅刻した。生まれてから今日までずっと運がいい。ほんの昨日までが秋で、今日からが冬だった。今日も…

少年勇者アトレーユ

真冬の深夜22時半過ぎなのにわたしの頬はほんのりと紅潮し、吐息はピンク色をしている。何を言うてんねん。今日のかえりみちは、なんだかあんまり寒くない。朝から遅延電車に巻き込まれて大遅刻したり、偉い人に高い焼肉ランチとタバコ2箱も買ってもらえたり…

ギャル

20231206 職場のギャルと、退勤が重なってバイブスが上がったのでノリでご飯食べに行った。数ヶ月前に隣の席になったギャル。ギャルは、何も金髪だからとか素行が悪いとかそういうんじゃなくて、なんか底抜けに明るくて一生懸命に生きている人間を定義してい…

入浴、それすなわち

寒さと疲れによって固く強張った身体をあたためるために湯を張った。 水道代節約とは名ばかり、ただひたすら面倒で平日に湯を張るのは私の生活において大変めずらしいこと。帰宅即、ソファに横になるともうなんもしとうない状態になってしまう。そんな弱い自…

シュークリームの約束

年始明けの仕事は怒涛の日々だった。 目が回るくらい忙しくて、何が何だかわからないまま毎日とにかく必死で、もう自分が自分じゃないみたいだった。暇すぎる年末年始休暇との落差に心身ともに疲弊して、毎日気を失うように眠った。朝が来ても完全に疲れが取…

犬はイルカの祖先らしい

年始に食事をした人は、わたしにこう語りかけてきた。正確にはメソニクスという犬のような四足歩行の動物が、イルカの祖先なんだって。ふーん、変なの。 その人の話はいつもほんの少しだけ、変わっている。身近にこんなことを教えてくれる大人はいなくて、そ…

20240101

2024年1月1日、明けましておめでとうございます。 2023年12月31日から扁桃炎を患って、39度の高熱にうなされていたらいつの間にか年が開けていた。2023年のうちに4回も扁桃炎になった。昔から健康優良児で滅多に風邪を引かない子供だった(らしい:母談)の…

reunion

なんか今、帰りの電車で、おセンチ。12月25日23:43。泣きたくなっちゃって、でもあんまりうまく涙は出そうになくて、なので書きます。なんだろう、寂しいような嬉しいような壮大な感傷の只中にいる。ここまで心が揺れ動く瞬間は多くはないため、残しておかな…

冥土はどうやら愉快らしい

週末にみた良い映画の余韻を引きずっていたら、迎えた月曜日のあまりに退屈な日常との落差にやられてしまった。時刻は21:15、明日は冬のボーナス支給日。色気のある出費の予定はまだないのだった。 今週末に観た物語のふたつと、今日お話ししたお客様との会…

追憶温泉郷

わたしはさぁ、多分だけどさぁ、ありとあらゆる思い出に未練があるらしい。わたしはこうして自分の感じたことを丁寧に書き起こして残したいと強く思う性分で、たいした記憶力が無い代わりに、誰も覚えていない些細な日常の一コマを大切に大切にしすぎてしま…

Life Is Party,Life Is Show Time

先週までのどんよりとした陰鬱さは、またも音楽の力で晴れて渡り、心健やかなる状態。11月12日、小山田壮平を生で見た。andymoriの曲は、わたしに清濁併せ持つことを教えてくれた。「綺麗な顔のままで死ねるなんて思いますか」その問いに、いたく衝撃を受け…

「灯台守の話」

どことなく日々がささむけていたため、休日は好きなことに思う存分、時間を費やしてみることにした。現実世界からの一時的な待避として、読書を選ぶ。 ジャネット・ウィンターソン/翻訳:岸本佐知子の「灯台守の話」を読んだ。金曜深夜から、土曜は午後に起…

吹き曝されて何になる

もうなんもしとうない状態。常々人は1人で生きていけないという標語をいたるところで散見されるけれど、誠にその通りである。疲労感に支配されて真っ直ぐ立つこともままならない金曜日22:58。今から家で待っているのはあたたかい食事や、やさしい家族などで…

あの頃のヒロイン席

わざわざ人に話すようなことでもないんだけど、わざわざ人に話すようなことでもないからここに書くんだけど、どうしても言いたいことがあって、高校三年生のときわたしは主人公の席にいた。 主人公の席とはつまり、教室の窓際の一番後ろの席のこと。普通なら…

出涸らし木枯らし

一番楽しみにしていた出来事が、あっという間に終わってしまって、だれがどう見ても腑抜けている。燃えカスである。と漏らしたら同じ境遇の子らも同様で、私だけではないらしかった。仕事にモチベーションを持ち込まないことは大切であると心得ているし、こ…

20231007

なんかあの日からずっと嬉しいきもちが続いていて、こんなの人生においてあまり経験がないので、ソワソワする。念のため、記録しておく。平たく言うとかなり浮ついていて、周囲に悟られまいと必死である。誰と接していても頭の中では常に考えていて、この2…

今日くらいは

帰り道に、自分でも分かるくらい地に足ついていない感覚が確かにあり、いつもは立ち寄らない成城石井でリッチなかぼちゃプリンを買った。 取り急ぎ、ささやかなご褒美である。 各所から送られてくるお祝いの言葉を何度も何度も読み返して、悦に浸りながら秋…

秋の大荷物

ふと気づけば、エアコンをつけなくなっていた。 夜風がきもちよく、煩わしかった湿度を感じさせないカラリと晴れ渡った天気が続いている。例年より少し遅ればせながら、ようやっと秋が来たようだ。 昨日彼氏と夜ご飯に秋鮭のホイル焼きを作って食べたんだけ…

おともだちシップ

男女の友情は成立するか否か? こんな話題はもう擦り切れるほど男女間で交わされてきたのでしょう。男女の友情は成立する。なぜならわたしたちがそうだから。 大学を卒業してから、1〜3年に1度くらいのわずかな周期で会う異性の友人がいる。二人は思慮深く真…