パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

20221111

本日も秋晴れ。朝はいつものベーグル、昼はスタバのバジルチキンサンドとホワイトモカ(でかいやつ)、誕生日に友人からもらったギフトカードの期限がもう間も無くなため2,000円分豪遊したけど500円で済んでかなり得した気分だ。しかもデカいやつにしてもお値段変わらないですよと親切な店員さんが教えてくれた。夜はひさしぶりに飲酒金曜日。おどりながら街を歩いた。肌寒い11月初旬、活気付いた駅近くの街では至る所に吐瀉物が撒き散らされていたり、うしろから全速力で酔った男が走り去っていったりして楽しい。みんな1週間お疲れ様でした。酒に弱い私は電車で体に満ちていく吐き気に耐えきれず見知らぬ町の駅でついには降りてしまった。情けなさすぎる。そこはタクシーの停車しない街で、終電を過ぎた駅中は人が歩いておらず、街灯も少なく薄気味悪かった。タクシーが通る駅まではなんと徒歩1時間半。その時点で0:30をすぎている。頻繁に後方を確認しながら半泣きで歩くことを覚悟した矢先、空車のタクシーが目の前に現れた。必死で合図を送って停車させダメ元で行き先を伝えると品のある老紳士は「こんな夜遅くに女性を放っていけないよ」と優しくドアを開けてくれて、おもわず泣きそうになった。老紳士はかつて百貨店で働いていたり、ハリヤーで重役を運んでいたとかでとにかく所作や話し方に品があって、やわらかい笑顔が暗い車中でもよくわかるほどだった。わたしはタクシーの運転手と話すことが好きで、積極的に話しかけてしまうタイプなんだけど、その人も行き先に着くまでたくさんお話ししてくれて嬉しかった。あんな場所でたまたま通りがかったのは奇跡にほど近く、しかも踏切の近くだったので減速をしていたことも相まって気づけたことは幸いだったと言っていた。このことを認めると、なんだか失われてしまうようで口を慎んでしまうのだけど、私は人生全般においてとても運がいいと感じてる。窮地に陥ったときにふと救いの手が差し伸べられたりする経験が多い。だからきっとこの先も、のたれ死んだりすることはないんだろうなと根拠のない自負がある。私は大丈夫なんだ。運転手さんは、仕事観や高度経済成長の頃の街と人の話をしてくれて過ぎる街を眺めながら相槌を打つ時間が心地よかった。自宅まで送ってくれて、最後に今日はたくさん稼げる日だったからと料金もまけてくれた。休みの前の深夜はやっぱりどこか特別だ。