パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

20230208

クリープハイプのライブへ行った。今日は大事な締め切りがいくつもある日だったので、無事に仕事が終われるか分からなかったけど、まあなんとかなった(した)。趣味や好きなものが多すぎて、仕事してる場合じゃないんですよマジで。でも趣味や好きなもの、続けられるのは仕事があるからなのもまた事実。嫌なパラドックス名古屋駅からささしまへ向かうために歩いていると、多分この人も同じライブへ行くんだろうなあ、という人たちが足早に横を走り抜けていって、分かる分かる。数年前までは私もそうだったな。少しでも近くで観たいと思うものだよね。今日は少し心にゆとりがあったので、開演までに間に合えばいいやとセトリ予想しながら歩いて会場へ向かう。もう外で開場を待つ人の姿はなく、適宜入場のあれこれを済ましてドアに一番近い端の方で見ることにした。もうしばらくのあいだ近くで見てないけど、遠巻きに眺めることも全体を俯瞰して見ることができるので好きだったりもする。クリープハイプのライブ、もう何十回目というほど足を運んでいるけど、毎回新鮮な感動があるのですごい。彼等は、初期の頃と比べて世情に対するヘイトとか、忌々しさみたいなものが取り払われて、全体的に安定したおだやかなバンドになったなと思う。それが嫌でファンを離れた人もいるみたいだけど私は違ってて、クリープハイプのそれを進化だと捉えている。わたしは数多のバンドを愛しているけど、一切変わらないバンドはそれはそれで飽きてしまうから長くファンで居続けることは不可能だってことを知っている。いつも同じような感情を、同じような音に乗せて歌っているだけではファンは喜ばない。エンターテイメントに明るい人間は、そういったところに敏感なのだ。クリープハイプは、独自の進化を遂げながら、大切な部分(クリープハイプクリープハイプたらしめるもの。ここではあえて明言は控える。)は変化しないで「いてくれる」といった、ほかに類を見ない稀有なバンドなのだ。そしてそれはファンにとって、かなり幸せなこと。そんなことされたら、一生ファンでいるほかない。新譜の音源を中心にしながらも、長い間連れ添ってきた私たちも喜びそうな古い曲も満遍なく歌ってくれてどこまでも太客ファースト。あ〜そろそろこれが聴きたかったんだと思い直す頃合いでいつも歌ってくれる(気がする)いつ行っても、満員の客、ソールドアウトのチケット、だけどいつ行っても毎回今この瞬間は自分のためだけに用意された空間だと思えるくらい心理的距離が抜群に近い。そういうところも好き。私がおよそ11年間も同じバンドを応援する理由を知るには、ライブハウスに行くしかないだろう。決して月額980円のサブスクや動画配信サービスのBGMで知り得ることなんてできないはず。現場へ行って、後ろからサビの時に上がる観客の手を観ながら感じることがきっと一番正しい。だからこそ私は、最寄りのライブハウスに来てくれる時は決まって、仕事なんて二の次で向かうのだった。熱気で充満したライブハウスの照明で目が眩みそうになる。彼等が今後も進化を遂げながら、変わらない音楽を届け続けてくれる限り、わたしは喜んで彼等に会いにいく。