パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

欲しがり星の巡るところ

頭の上から足の先まで、愛情に満ち足りた人間は余剰分を他人に分け与えるに容易いんだろうと思う。その一方で、愛情に枯渇している人間は分け与えるどころか、他人のものまで欲しがることになるのだろうし、自分に向けられたものは味がしなくなるまで吸い尽くす。足りないのだから、仕方がない。そうならざるを得ない過去があって、見方を変えれば自分の中のわずかな愛がすり減ってしまわないよう、必死に守り抜いているともいえる。これは、最近の愛に関する私なりの見解。先日読んだ本の中にあった「人間は最初こそ貰うばかりだけど、いずれは与える側に回らなければいけない」は、今の私に痛いほど突き刺さる。きっと私はすでに、与えないといけない側にいる。今時の言葉で言い換えればサスティナブルな愛情がきっとこの世界には必要で、持続可能な未来のために、愛情の循環が必要だ。誰かがひとりよがりな思いで愛情の循環を滞らせたとしたら、途端にこの世界の穏やかな秩序は失われていく。私の奥底から湧き出てくる庇護欲は、この世界の万物が持っていて遺伝子に組み込まれているごく自然な欲望であって、気づかないふりをしていたけれど、年をとるごとに大きくなっていく。誰かを一心に、自分以上に愛したくてたまらなくなる。これまで貰った分を次は足りない誰かに渡したい。そんなことを、思う。