パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

20221206

なんかサッカーすごい盛り上がってらして。私はサッカーに限らずスポーツにはとにかく疎いので最初は興味がなくて見ていなかったけどどうやら勝ち進んでいるらしいということを知って、見てみたいきもちにはなった。ただ時間帯は深夜が多かったし、仕事よりも優先順位が低かったので敗退するまでリアルタイムで試合を見ることはできなかった。リアタイしてない人間に人権はなかったのでサッカーの話題で持ちきりの社内では出来るだけにこにこして過ごした。それでも人が、街が、日本中がひとつの試合で一喜一憂してることを朝のニュースで眺め、普段は天気や晩ご飯の話をするくらい希薄な間柄の人間同士による、愉快な話題の一つとして口々にサッカーの話をしている様子は、なんだかとても嬉しかった。なにより今季活躍していた選手の面々が揃って年下でいて(中には現役で活躍中の古参選手もいたけど)同年代としてサッカー選手に親近感を覚えたのはじめてのことだった。同年代が世界中の格上相手に死に物狂いで挑む姿は、日本人として誇らしくも思う。サッカーが国技の国はこういった熱い思いをもっと純度高く持っているんだろうなとも。国中が熱狂するのもわかる気がした。歳をとって、あの選手はあの頃がよかったとか勢いがなくなったとかボヤく頃にはわたしたちも相応に4年分の歳をとって、過ぎた月日の早さにみんな驚くんだろうな。なんだかそんな情景が思い浮かぶ。次のワールドカップが始まる頃に私は31歳で、いよいよ想像ができないほど遠い場所にあるようにも感じている。きっとそうこうしているうちにすぐに訪れてしまうんだろうけど。私はどこに住んでいて誰と勝負の喜びや悲しみを共有しているんだろうか。たった4年後のことなのに、全く想像できてない。とはいっても、計画立てた人生なんてまっぴらごめんだ。死ぬまで予定調和をぶち壊しながら、敷かれたレールの真逆を歩きながら、行き当たりばったりの人生のほうが予測できない試合みたいで面白いに違いないんだからって思う。それだけは、確か。