パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

石橋施工管理

私には悪しき思考の癖があり、解決しない問題をいつまでもいつまでもいつまでも思い悩み続けてしまう。そのせいで昨日なんて午前3時にやっと眠りにつけたくらい。例えるならば、石橋を叩いて叩いて叩いて、周りからまだ叩いてるの?と聞かれてもなお、叩いて叩いて叩き続けている。あまりの慎重さに心配してくれてた人達は、いつのまにか殆どが渡り切ってしまって向こう岸で楽しそうに踊っているのに、その光景がどうしても信じきれずどうせ私の渡る番で石橋は音を立てて崩れ去って死んでしまうんだろうという最悪の想定が付き纏う。そんな人生。この性格と向き合い続けて早27年。治る見込みはもうないし、人生において大切な選択肢を迫られる年頃になった今、より強くなっている気さえする。昔はもっと怖いもの知らずで、石橋なんか走って渡っていたはずなのに。

そんな私の背中を蹴飛ばしてくれる存在がいる。それはもう十数年の仲になるわけだけど、ずっと変わらないでいてくれる。私がいろんな局面で下を向いて石橋の様子を入念に確認していると、後ろから全力で走ってきたかと思えばドロップキックをお見舞いする。これが結構強くって、私はよろめいた弾みで一歩二歩と先に進んでしまうんだけど、不思議なことに石橋は崩れないし安全に渡れることをそこで初めて知る。みたいなことが、出会ってから何度もあった。答えの出ない問いかけをたった一人で続ける私にハッと光あるヒントをくれる。それは時に石橋を渡らなくて済む方法だったり、すでに壊れてるところを飛び越えるための強かな手段だったりもする。半ば強引で、いつも愉快で、話終わる頃にはいつもこんなちっぽけな悩み、石橋のわずかなひび割れ、なんでこんなに長い間気にしてたんだろって心が軽くなる。

そうやってドロップキックしてくれるひと、私は他に知らないし、当たりどころが悪いとたまに腰を痛めるから、正直そんなに多くいても困るし。だからその子だけでよくて、わたしの人生にはその子がとても必要で、たまに蹴飛ばしてもらわないと私は前に進む決心がつかないから、すごく感謝してるってことが言いたい。恥ずかしいから直接言うことはないんだけど、これ見たら教えて。またドロップキックが必要になったら連絡してもいい?