パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

愛しあってるかい

立て続けて大切なひとの結婚式に参列した2022年10月。少し前までは、一足早く人生の階段を登るひとたちの後ろ姿を見送って焦る気持ちもあったけど、誰ともなく人生は一人一人のペースがあって、タイミングがあって、一つも同じ道なんてないことを感じ始めてからそうは思わなくなった。ただ純粋に、大切な人たちが結婚式に招いてくれて私のことも同様に大切だと思ってくれたという事実が、ただただ嬉しくて、結婚式後の帰り道は幸福で胸がいっぱいになった。結婚式の多い10月の気候はカラッとした清々しい晴天の日が多くて、本日はお日柄もよく。なんて家を出る時思ってしまう。

女性は特にそうだと思うけど、みんな朝早くからそれぞれの祝いは始まっていて、大切なひとの晴れの舞台に見合うようドレスを身にまとい、髪には華やかな飾りを施している。普段しないかしこまった格好も相まって、自然と背筋が伸びる思い。少しだけ派手な化粧をしたりして、いつもと違う自分で今日のあなたたちに対する祝福を全身で伝えている。そんな結婚式の空間が好き。初めて会うけど大切なひとのおそらく大切な人々と、みんな笑顔で浮き足立つパーティ。

人生で大切な人々が祝いをくれる瞬間が3回あると言われている。一つは産まれたとき、一つは結婚式、そして、お葬式。そのうち、明確に記憶や記録に残るものは結婚式しかないので、あれだけ盛大に、そして華やかに執り行われるんだろうな。この発想は今までわたしにはなくて、少し皮肉めいた気持ちを抱いていたり、仮に私なんかが人様の時間とお金を貰って祝いを乞うに値する人間なのかとか、ずっと縁遠いものだと思っていたけれど、参加するたびにそんな考えは変わっていった。

大切な人たちに向けて「あなたたちをこれからも大切にしたい」という決意を、最も美しい姿でみんなに伝えてる。そして、その大切な人たちの前で死ぬまで一緒にいることを決めた、たったひとりと契りを交わす。こんなにも素晴らしい行事があるのかって話。だから、私を招いてくれてどうもありがとう。私のとても大切な人たちへ。本当におめでとう、心からの祝福が届いていたら嬉しいな。