パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

20211231

今年一番の寒波が襲来した夜、わたしはボタボタと傘におちる湿り気の多い雪を眺めながらひとり帰路についていた。年の瀬の雰囲気はやはりどこか忙しなく、街をゆく人々の足取りは軽快でいて少し焦っている様にも見えた。かくいう私はというと、終わらない仕事を無理やり2021年に詰め込んで、溢れ出さないように蓋を閉めたみたいな感じです。誰もいないオフィスを一通り見渡し、心の中でそっと「良いお年を」と唱えて施錠した。あとのことは、2022年の私へと託して。頼むよ。

26歳も半ばを過ぎて思うことはもう少しだって他人に干渉されたり、他人を干渉したくなんかないってこと。SNSの普及によっていやでも他人の人生が毎日目に入る。全く違う人生を歩むひとたちの美しく切り取られた正方形の写真たちを、どうしても私の人生と見比べてしまう。私の人生だってきっと素敵なはずなのに、見劣りするのはなぜだろう。このまま人の人生ばかりを気にして生きていたら、肝心な自分の人生に目を向けることなく、過ぎて行ってしまう気がして、こぼれ落ちてしまう気がして、すごくもったいないと思った。

だからわたしもっと自分の人生に集中することとした。刺々しい言い方になったけど、わたしはただ誰ともなく私の人生は正しいんだよと言ってほしいだけで、安心したいだけで。どんなことにも自信がないことが全ての元凶で、2022年の目標は兎にも角にも「自信をつけること」だったりする。自信をつけるためには、先ず「自分との約束を守る」が一番大切で、ずっとできていない。私は私に期待して、私は私を幾度となく裏切り続けてきた。少しでも私は私を好きになるために私を信じて愛してあげないといけないんだよな。そんなことはもうずっと昔から自覚してるから、余計にタチが悪かった。他人の人生を嫌う前に、自分の人生を好きになれますようにと願いながら、良いお年を、と次は自分に向けて。