パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

私を笑ってくれるなよ

失敗を嘲笑われたことを今日一日中ずっと、本当にずっと考えていた。(引きずっていた)他人の失敗を笑ってもいいなんてこと、学校はおろか親からもわたしは一度も教わったことなんてなかった。誰にでも失敗や得手不得手はあって、うまくできなかったときに本人以外が馬鹿にして笑っていい理由にはならないに決まっていて。それを知らない、理解できない人間がこの世の中には一部いるわけで。わたしは自分に向けられた嘲笑が発生した瞬間に、心の中に住まう暴力団組長がジャケット裏に隠し持っていたチャカを取り出して、眉間めがけて振りかざしそうになるのを、なんとかグッと抑えてもらって何も言わずにその場を立ち去った。信じられないくらいの時間差でフツフツと込み上げる憤りをどこにぶつけるわけでもなく、出先に向かうため乱暴に車を出して音楽をかけたら涙が出てきた。悔しさと、何も意見しなかったことについての後悔などが込み上げてきたけれど、やっぱり特に何もしなかった。できなかった。真っ当な大人だから。今日をもちまして私を嘲笑ってきた人間とは一方的ではあるものの縁を切りました。いや人間の風上にもおけない、今後言葉の通じない動物として接していくことと致しました。もう私の人生には、一切合切関与させないことを決意しました。それくらいしないと、嘲笑われたわたしがとても可哀想。ただ一つだけ、嘲笑われた側でよかった。人間を嘲笑うような人間にならなくて、本当に良かった。そう言い聞かせているだけで、実のところ今日私を嘲笑ってきた彼に対してだけは、今後同じようなことがあったら率先して嘲笑っていきたい所存だけれども、それをしないという選択こそがこれからも真っ当な人間でいることを保てそうな気がする。理不尽な社会を生きていくうえで何度も思い出してはその度に胸に刻む言葉の一つに「傷つけるより、傷つけられる側でいましょう」がある。クリープハイプのVo.尾崎世界観氏の言葉だ。わたしはこの言葉にだけ、ずっと救われ続けている。同時にこれからの自分自身に強く誓う。人を嘲笑うような人間にだけは、ならないでいてくれ。この先どれだけ荒もうと、汚れようとだ。さすれば今日の私がきっと救われるはずだから。っていうのは全部嘘でクソ野郎!死んじまえ!バーカバーカ!明日から、ありとあらゆる不幸な出来事が絶え間なく彼に訪れますようにと、そう心の底から願っています。