パンチラ追って知らない街へ

すべて作り話です。

昨夜見た悪夢の話

そこは川沿いの広い道路、大勢の観衆がなにやらざわついている。

そしてその様子をわたしはテレビの画面から眺めていた。よくある街の風景、だったはずだこの瞬間までは。うしろからズドンと大きな音がして、カメラが写したのは、ひとりの警官の姿。その手には大きな斧。勢いよく振りかざしたあとにみえた。返り血を顔にまで浴び、警察官の青い制服が赤黒く染まっていた。カメラが地面をうつすと血まみれの男がのたうちまわっている。びくんびくんと痙攣するたびに、体から血が噴き出している。警官はふるえる手で斧をにぎりしめたままその様子を呆然と見つめるだけだった。どうやらその警官は、本来そのようにして殺めるはずだった男をかばって飛び込んできた関係のない男に対して、思い切り斧を振りかざしてしまったようだった。

慌てふためく観衆の声が悲鳴に変わる。

わたしはテレビ越しから目が離せない。ただその男が息をひきとるまでを見届けた。

目覚めると、10時を過ぎていてわたしは昨晩どうやら床で寝落ちていたみたいだ。なんて目覚めの悪い夢だろうとおもった。メガネより先にiPhoneを手にとって 「他人が殺される夢」を調べてみた。吉夢らしかった。

最近の生活に関係のない描写ばかりで、本来ならば誰か他の人の夢であるはずのものを見ていたような気がしてそこはかとなく不思議だった。そして、言わずもがなもう二度と見たくない夢だった。